<変身忍者 嵐 様より>
ロマン高原は和尚の声から始まったのさ。
和尚は高原と言う言葉の響きがとってもお好きだそうで、
それにロマンなどと言う言葉がついているのが堪らなく良いと…
八百屋さんで売っているキャベツなんかとは違い
ひとつづつセロファンに包まれている高原レタス。
あのセロファンが高級感を醸し出しているが何の意味があるのだろうか?
ロマン高原に向かう車の中、
あまりの環境の良さに和尚はカメラのファインダーを覗くのを忘れ、
爆睡されていたそうです…
おいおい…
私がロマン高原に向かった時刻は黄昏時をだいぶ過ぎてから…
美しいといわれている紅葉も闇の中に埋もれて全く見えなかった。
ああ、せめて和尚が写真を撮られていたら…
もしかしたら何時の日か見ることもできたかも知れないのに…
ちょいと残念な気持ち。
賀陽町のロマン高原のMASS会場
深淵の如き闇の中に突如現れる白亜のホール。
ライトアップされていて(新しいのも手伝って)とても美しい…
でも、めちゃめちゃ寒かった。
ホールの入り口で会場の係員のにぃちゃん達が
「おもては寒いですからホールの中に早くお入りくださーい」と、
次々に到着する参拝客に声をかけつづけるほど。
ホール内部は地元ないしは近隣の一般客が多かった。
(もっとも今回のMASSはそんな傾向が多いのですけれども…)
大音響で始まるMASSの曲連発がひとまず終わり、
閣下の最初のご挨拶。
シャウトをされたあと、おもいきりニヤニヤされて
「聖飢魔IIの曲を掛けると子供が寝るって言う話しがあるけど、
本当に前から3列目にぐっすり寝てる赤ん坊がいるんだよな…
で、曲が終わったら起きるかと思ったてたら…まだ寝てる」
凄いぞ子供!…いやそれをつれてきた親!!
そんな席で子連れなんて芸当は他のバンドじゃ見れないと思うし…
客席の乗りを見ていた閣下は前数列がコアな聖飢魔II信者さんで、
そっから真ん中辺は普通のお客さん…
そんな風に判断を下された。
そして概ね一般人とふんだ客に向かい
「あのな、
この前の方にいる奴等はサクラだから同じように乗らなくてもいいぞ、
一緒になって拳を上げてると次の日かその次の日にここら辺
(上腕と前腕部を示して)が痛くなるからな…
ようは楽しもうと言う姿勢があればいいから…」
で、私たちは一般客と判断されたとこら辺に居たんですけどね。
確かに回りはどう見ても普通の人々。
1・2列前にはご老人(じーちゃん)もいらっしゃる…
そのご老人は前列のサクラ呼ばわりされていた信者さん達と一緒になって
頭こそ振られなかったけれど拳は結構マメに上げておいででしたね。
流れるようなMASSの進行。
某小芝居のような演出の曲に会場から笑いと拍手が湧きあがる。
その後のすばやい展開も。
毎度毎度、あの曲に入る直前に
閣下が全力疾走で舞台裏を走られているのかと思うと頭が下がる思いである。
そして構成員紹介がやってくる。
地元出身の構成員と最初に説明をされ
「聖飢魔IIの緑の風!(個人的には翠の疾風とあてたいです…)」
そうライデン殿下をご紹介された。
ロマン高原って良いところだよな。
紅葉も綺麗だし1年の半分ぐらいならここに住んでもいいって思った…
そんな事を仰った殿下に閣下が囁いた。
「じつはですねぇ…そんな方々の為に新興住宅を創っているんですけど、
殿下おひとつどうですか?」
どっからそんな情報を仕入れてくるんだか…
「えーっと…考えておきます…」
殿下はそのようにお答え下さいました。
和尚の紹介の前に閣下は会場入りしてすぐに彼が取る行動を語った。
なんでも和尚は仕度部屋(楽屋)に入ると、
まず最初にスパッツとブーツを履かれるとかで…
そんな和尚にスタッフがいたずらで
前のツアーとかもっと前の時のスパッツを黙って出しておくと
温厚な口調でこう怒られるそうです。
「だれだ!こんなモノを用意している奴は!
こんなよれよれのスパッツなんか星島にでもくれちまえ!」
その一言に和尚が反論を述べる
「そんな言い方をすると誤解を招くじゃないですか…
別に悪気があって言ってる事じゃないんですから」
どんなに毒のある言葉を言っても全く悪気が無いから誰からも恨まれない…
閣下はそう和尚を紹介された。
今日は何の日?
今日はドラムのスタッフの○△君の誕生日、
それと明日は松崎様のお誕生日。
すっかりイベントついているこのツアー。
スタッフがケーキを持ってステージに上がる。
ドラムスタッフの彼は普通のケーキ
松崎様は特性の吉備団子とモモのケーキ…
(うわぁぁ〜めちゃめちゃ食べにくそうなケーキ…)
長官の演奏でハッピバースディを会場が歌いキャンドルに炎が灯される。
それぞれがキャンドルを吹き消し恒例の一気食い。
今回のケーキにはスプーンらしいものが添えてあった。
会場の一気の声に一生懸命食べるスタッフ君
そんな彼を見ながら閣下がさりげなくおっしゃった。
「我輩も数日前にとある事情でケーキを食べたんだけどさぁ…
基本的に酒飲みじゃない我々ってさぁ…
んなもんだから甘いもの苦手で…
そのあと胸が気持ち悪くて歌うのが大変だったんだよね…」
いや…あれは酒飲みじゃなくても気持ち悪くなりますよ…
ホールのイチゴショートケーキに生クリーム。
それを食べて歌を歌うなんて…
ドラムのスタッフ君がケーキを食べ終わると続いて松崎様。
ケーキに使用している吉備団子を口中に頬張る…
1個2個…何個放り込んだんだろ?
ほっぺたがパンパンになるまで口に吉備団子を突っ込んでおられた。
そんな松崎様に閣下が「それではお言葉を…」と振った。
「○×※*#△◎?」
(みなさんこんばんわ!如何お過ごしですか?…だと思う)
言葉にならない彼の声にステージ上が崩れ落ちる…
前に出てきていた殿下はこけるし和尚もくの字になって…
参謀は両手を叩きながら大笑いされている。
長官はその場に座り込み客席に背中を向けていた。
閣下がご自分の飲み物を松崎様にお渡しになり、
吉備団子を飲み下した松崎様はやっぱり同じご挨拶をされてお帰りになった。
「我輩も知らなかったんだけどね、
この前福岡に行った時に、彼は仕事で先に行ってたんだけど、
その時に乗っていた車が接触事故を起こしたらしいんだって…」
閣下の発言に会場がざわめく。
「まぁ結局大した事も無かったから良かったんだけれども、
それよりも彼は今、風邪が悪化しそうなのが心配だそうである…
聖飢魔IIの蒼い星のエチュード!…」
人吉の夜のシャワーが原因ですか参謀…
「この前、久しぶりに家に帰ったらね…
トイレの中に芋虫が浮いてるんだよね…
ど!どうやってこの中に入ってきたんだ?…
全然判らないんだけどさぁ…やっぱし気持ち悪いじゃん?
でも出るものは出るし…
でっ、座って用を足してる時に
その虫が俺の身体の中に入り込んじゃったりしたらって思ってさぁ…」
客席からの風邪を心配する声に構わずに参謀は淡々と話しはじめた。
「んで、気がついたら俺の身体が乗っ取られて
近所の犬とかバリバリ食べちゃったりして…
そのうち俺の身体から他の構成員に乗り移って増殖したりしちゃって…
そんな事が頭のなかをぐるぐる回ったんだ」
うわぁぁ物体Xかエイリアンじゃないんだからぁ〜
そぉ言う気持ちの悪い事を…
「参謀、参謀。参謀の家の便座はO型U型?」
「俺んち?えーっとO型かな…」
「そうかぁ…じゃぁどこから入ったのか謎だよね…」
「でしょ?一生懸命さがしちゃった」
「ところで、今の話しは何時考えたの?」
「便器の蓋を開けて虫を見た瞬間にぶわーっと頭の中を駆け巡った」
「見た瞬間に?構成員に乗り移るまで?」
「そう…」
「で、今それを話している俺が今までの俺なのか、
それとも芋虫に乗っ取られた俺なのかは俺自信にもわからない…」
だぁかぁらぁ!そう言う話しはやめて〜
参謀はひとしきり便器と芋虫の話しをされて闇に消えていった。
「さて、先ほどの参謀の乗っていた車に彼も同乗していたそうで…
後で聞いた話しなのだが実は彼は、この前もマネージャーと乗っていた
車が接触事故を起こしていたそうである…
1ツアーで2度も接触事故に遭った男!
紹介しよう!聖飢魔IIの紅い星のエチュード…」
ギターを弾きながらエース長官が舞台へ…
「えー…私は以前から会う人会う人に、
住むんなら賀陽町それもロマン高原…と申して参りまして…」
倉敷の時と同じ語り口調でトークが始まった。
「もっとも私は住む気は全くありませんけどね…へへっ」
ギターを爪弾く
「賀陽町…ロマン高原…ですか。ロマン高原…いい響きですよね…
するってぇとここは『岩手県南部地方および青森県…』と同じなんですかね…」
みょうーに嬉しそうにしていると思ったら…
こっ…このおっさんは…そーゆー言葉の分解組み立てしてたのかぃ…
「センパイ、我輩も思ってても口にしなかったのに…」
おもわず閣下が立ち上がり長官に突っ込んだ。
そんな閣下を無視して長官
「しかし最初にロマン高原って聞いたとき私は
『グリコーゲン』と言う言葉が頭に浮かんでしまいました…」
「あのセンパイそれって『コーゲン』しか合ってないんですけど…」
「んじゃぁ○×高原って聞いてグリコーゲンって思いつくか?」
「いえ…思いつきません…」
「だろ?」
そしてすごすごと帰って行く閣下。
聖飢魔IIの真の力関係が明らかになる一こまでした…
くるっと客席に振り向くと長官は
「へぃ!君達ぃ俺と接触事故をおこしてみないか?」
と叫んでフェイドアウトされていった。
長官のその言葉を聞いて
ステージ上で閣下がへにゃへにゃ〜っと腰から崩れ落ちた瞬間を
私はしっかりと目撃させていただきました。
数曲が終わりこれから勢い激しい曲に入るちょっと前でしょうか…
殿下のドラムセットにアクシデントが発生されたのです。
最初は急に音が途切れたので???と目を凝らすと
ステージの奥でなにやらごそごそと動きが見える…
「ちょうどタイミング良く終わってここから格好良く進む所なんだけどね…
機材トラブルなんで…少々お待ち下さい…」
苦笑いの閣下
結構ドラムの調整に手間取っている…そんな状態を気遣い閣下
「いや…話しのネタが無いわけじゃないんだけどさ…
話し始めると10分ぐらい掛かっちゃうし…
さっきのね参謀の話しで思い出した事があるんだけどね…
この状況で話すネタじゃないし…」
会場から話ししてくださいの声が聞こえる
「だから話すネタじゃ無いってば…」
一応状況を考えて断わっている閣下…
しかしドラムのセッティングはまだ終わらない…
「それじゃ話しするけど…え?セッティング終わった?そう。
いやぁ残念だったなぁ…」
閣下が話し始めようとすると後からOKの合図が送られてきた。
しかし客席は話しが聞きたい。
「わかったよ!それじゃ話すけど。
このツアーで便座売ってるじゃない…それで展示をするのに便器が必要で、
でも毎回毎回現地調達するんじゃ無くって、
機材と一緒に『便器』って書いた箱を持ち運んでいるわけだ…
それで、このまえある会場に行ったらそこのホールの奴が来て
『さすがですねぇ…
やっぱり誰が使ったのか判らないのは嫌だからMy便器をお持ちになるとは…』
おい!ちょっとまてぃ!
枕とかカップならわかるが誰が自前で便器なんか持って歩くんだ!
もしも持って歩いたとしても水はどうするんだ!あぁぁん?
流す方はバケツでも流れるけど下水はどうすんじゃぁっ!
…っていう話しがあったんだよ…
ほら、こんな状況で話す事じゃなかっただろ…」
閣下ぁその話しはどこでされても格好悪いですよ…
アンコールの前なんかにされたらもっと嫌です。
こうしてロマン溢れる高雅な高原のMASSは
薫り高く終わったのでした…
追伸
帰り道『地獄行き』と書かれてはいなかったバスで、
参拝してきたと思われる乗用車と接触事故をおこしそうになりました。
これから先接触事故を起こしそうになるたびに長官の
「俺と接触事故をおこしてみないか?」
と言う言葉が頭を過るに違いない…そう確信いたしました。
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