広島ナミキジャンクション
2000年5月14日(日)


SETLIST

1. オヤマニアン
2. CHICKEN OR BEEF?
3. Agrion
4. get it !get it ! 
5. Close To Me
6. Crazy Heart
7. TOGETHER AGAIN
8. !HAヨY 
9. Mystery from greenman
10. S.T.F.

〜アンコール〜
12. FUNKAHOLIC BROTHERS
13. LOVE FLIGHT

RX

ベース/石川俊介
ドラム/雷電湯澤
キーボード/松崎雄一

参加ミュージシャン

サックス/勝田一樹(ディメンション)
ギター/宮腰雄基
ボーカル/ ROBBIE DANZIE


開演前

 チケットを手にした時から、最前列であろうことは確定していたし、そりゃあもう、この日をどれだけ楽しみにしていたことか。
 会場に入って望み通りの位置(石川さん前)を確保。荷物を足元に置けるのが嬉しい。上着も脱いじゃって、靴下も脱いじゃって(?)、スタンバイ完了。
 そして、ほぼ定刻どおり、ライブは始まった。

いよいよ・・・

 当然のことながら5分前MCもなく、大仰なSEや鐘の音もましてやステージに棺桶などもあるはずもなく、場内が暗くなったところで、ステージ奥のカーテンがひょろっと開いて、メンバーが淡々と現れる。
 客の歓声に軽く手を上げて応える湯澤さん。石川さんがベースを手にしてバミり位置に立つ。うっわ〜、近い。ステージまでの距離はおそらく30センチくらいのものだろう。石川さんが目の前に立ち塞がる、といった感じ。全員(ステージ下手より宮腰、松崎、湯澤、石川各氏)が揃ったところで、軽く目で合図を交わしいよいよ、RXの音を聴ける時がやって来たのだった。

号泣ならぬ・・・

 1曲目から号笑(爆笑だとちょっと意味がちがっちゃう)だ。楽しくって楽しくって、よくわかんないけど、とにかく笑顔満開。
 目の前で石川さんの指が華麗に動いている。湯澤さんの美しい筋肉が、たとえ姿はかわっても、私のよく知るあのドラマーだと語っている。松崎様(マツザキ様は、やっぱ"様"なんだな)への絶対的な信頼と安心感。そして、宮腰さんのパフォーマンスに、ちょっと腰が引ける(笑)。
 石川さんの口がもぐもぐ動いてるのを見て、『おんなじー』と思ったのは私だけではないはず。楽しいんだけど、どこか微妙に、探りあってる感じは否めない。こうやって、私のよく知る彼らを確認したがってるところをみても、それは確か。

メインMC

 「みなさ〜ん、こんばんは。RXです。」
 いやー、石川さんのMCですよ。もちろん、その話術には、ある意味卓越したものがあるということを、私達は知っておりますが、まさか、進行役を、あの、あの石川さんがなさるとは。
 人の段取りをことごとく粉砕して恐れられていた石川さんですが、その本人が進行を努めれば、誰にも邪魔されないわけで、この状況をDさん(仮名)がご覧になったら、さぞや羨ましがられるのでは?

[Agrion]って?

 今回のアルバムに入っている松崎さまの曲で、そのタイトルの由来はは蜻蛉の学名だそうです。しかも、『アグリオン』という名前の蜻蛉がいるわけではなく、『なんたらかんたらアグリオンなんたら』という長ったらしい名前の一部を抜粋したのだとか。それに対して石川さんいわく、「意味不明」(笑)さらに、『オヤマニアン』も「オニヤンマ」みたいだと感想を述べていました。

お楽しみ満載のげりげり

 『GET IT! GET IT!』を、かっこよく言うと(?)げりげり。という説明を石川さんがしている途中で、「いしかわくん、いしかわくん」と湯澤さんの声。ここで初めて湯澤さんの声を聞けました。その、いしかわくんと呼び掛ける声やらイントネーションやらが、これまた当たり前ですが、あの湯澤さんそのもので、うわぁ〜、て感じ。
 「あのさあ、ちゃんと説明してくんないからさあ、昨日(福岡)のアンケートにげろげろとかげらげらとか書かれちゃうんだ」という湯澤さんの突っ込みに石川さんは一言、「あんた誰?」そこで湯澤さん、「雷電湯澤だぁ!」と自己紹介。いや、わかってますけどね。結局石川さんに翻弄されている様子の湯澤さんがどうにもこうにも愛らしいじゃありませんか。
 さて、げりげりにはブレイクが何度か入って入ってまして、そこはたぶん、勝手にやりたい人がやりたいようにアドリブを入れるという演出になっていたみたいなんだけど、時々だ〜れも音を出さなくて、ただのブレイクで終わってしまうことがあって、楽しいんだけど、微妙に緊張感がありました。最後の方は湯澤さんがスティックで指名してましたが、その姿がかっちょいいの〜。

ドラムソロ

 げりげりの途中でドラムソロが入ります。今までは広いステージの奥で、顔も姿もよく見ることが出来ませんでしたが、この日は違います。手数足数、筋肉の動きまで見えて、そりゃもう、うっとり。時々気合を入れる声も聞こえてきて、10年も見続けてきたはずなのに、とても新鮮でした。そして、あらためて、その叩きっぷりに惚れてしまったのでした。
 このドラムソロの後半では、、聖II時代と同じものを聴かせてくれます。一発たたいて手を上げて、「いえー!」という、あの掛け合いとか、らいでん・りーの声とか。実は、この時、つまりドラムから「あちょー」の声が聞こえた時、私、涙、ダーッ!それはもう、自分でもおかしいくらいに、ぼろぼろ泣けた。
 このライブを本当に心待ちにしていた反面、どこかにちょっとだけ不安のようなものも、実はあった。ステージに立つのは和尚や殿下じゃなく、石川さんであり湯澤さんである。その空間に聖IIを持ち込んではならないのではないか。
 そもそも、人間の姿に関することは、これまで最大級のタブーであったわけで、その感覚が染み付いてしまっている。例えば、『GIGS』に初めて人間の姿が公開された時、なんだか後ろめたい気がした。和尚イコール石川俊介、殿下イコール雷電湯澤という事実を公のものにすることに、妙なためらいがあった。写真を見てそれに関してあれこれ言うことは失礼なことのように思ってしまっていた。ま、とりあえずそういう写真に興味ないし、という姿勢でいなければいけないと思い込んでいた。
 けれど、ここであっさりと彼らが聖IIを持ち込んでくれたことで、それらのつまらない思い込みは私の中からすっと抜けていった。最後はらいでん太鼓まで登場しました。素直に嬉しかったと申し上げましょう。

メンバー紹介:勝田一樹(サックス)

 『ディメンション』というバンドのメンバーで、チューブのツアーなどにも参加しているという、売れっ子サックス奏者。ディメンションとして、7月にも広島ナミキジャンクションでライブをするので、ぜひ、行ってみてください、と石川さん。ミュージシャンは横のつながりで食ってるんだって。滴り落ちる汗がとてもセクシーな勝田さんでした。

メンバー紹介:宮腰雄基(ギター)

オン・オフのはっきりしたというか、落差の激しいというか、不思議な人。メンバー紹介の時、石川さんに何度振られても。「え〜」って言ったきり冷や汗をかいてるだけなのに、ギターを弾きはじめるとめちゃくちゃ攻撃的になる。わーわー叫ぶし、他のメンバーにがんがん仕掛けてくるし。湯澤さんなんかは、それに変な顔で反撃するんだけど、石川さんは目を合わせないようにしていた(ようにみえたの(笑))。

メンバー紹介:松崎雄一(キーボード)

 松崎様は様付けでいいみたい。石川さんもそう呼んでたし。さて、今回のツアーでは綿密なリハーサルとかはあえてしないようにしているのだそうで、早めに広島入りして、少々時間のあいた松崎様は、ふらりとラーメン屋に入った。松崎様がラーメンを注文すると、そこの店員は、「はい!喜んで!」と答えた。そういえば、スタッフのM氏も、何か頼むと「はい!喜んで!」と答えるけれど、そうか、彼も広島出身だったなあ、と納得した松崎様であった。
 「はい!喜んで!」は広島弁だったのか、って、んなわけないじゃんねえ、M永さん(笑)。

メンバー紹介:雷電湯澤(ドラム)

 石川さんに、「オンドラムス、らいでんゆざわ!」と紹介されて、なんだそのまんまじゃん(笑)。「自分だけ勝手に石川俊介になっちゃってさ」となんだか不満そうな湯澤さん。
 前日の福岡でホイコーローの話があったらしく、その流れで、「俺も10年くらい独り暮らしをしてた時があったじゃん?その時に作ってみたことがあるのよ。くっくどぅーっていうレトルトの調味料を買ってきてね、そこに書いてある通りに。キャベツ半玉。(客:えー!)だって、キャベツって炒めたら縮むじゃん。で、ピーマン一袋。(客:えー!!)ピーマンって中すかすかじゃん。肉、500グラム。(客:えー!!!)だはは…。(もはや言い訳はしないらしい)で、それを全部食って2度あきれたんだ(笑)」 ちなみに、スパゲッティを作る時も量がわからなくて300グラム一度に茹でたことがあるけど、さすがにそれは食べられなかったそうです。
 にしても、湯澤さんらしい食べ物ねたでしたね。

メンバー紹介:石川俊介(ベース)

 湯澤さんに勝手に石川俊介とかかえちゃってさと、言われて、「RXなのに、Xはどこにもいないんだよね。」と人ごとのように答える。さらに、「サイン遅いよ」と責められ、「慣れないんで、時間がかかるんだ」だって。つい『/』なんて一筆入って「しまったぁ」なんて失敗もあるかもね、何て想像してしまったわ。

お料理悪魔だった頃

 それは石川さんがお料理悪魔と呼ばれ、『ぜのんいしかわ万歳』という料理番組を持っていた頃・・・じゃなくて、レコーディングのためにロンドンで自炊生活をしていた時のこと。湯澤さんをはじめ料理の出来ないスタッフなどは、おなかがすくと石川さんの部屋に集まるようになっていた。そんなある日、いつものようにみんなの食事の用意をしキッチンから出てきた石川さんの目に映ったものは・・・。
 釜をしっかりと小脇に抱え、手づかみで飯を貪るデーモン小暮閣下の姿だった。
 「そんなに腹が減っていたのか」という石川くんのふつーの感想がおかしかった。

(この話を聞いた時、私、その場に崩れおちました。その光景が鮮明に目に浮かびます。昨年のツアーでネタにされまくった仕返しでしょうか。石川さんはさらに強力な閣下ねたをお持ちのような気がします。大将のいぬ間にぜひ暴露しまくってください!)

メンバー紹介:ROBBIE DANZIE (ボーカル)

とってもチャーミングな女性ボーカリスト。特に湯澤さんの曲2曲はすごく良かった。曲自体も素晴らしい。「RXのためにわざわざ来てくれました」と石川さんが紹介するので、「へ〜」って思ってたら、「いや、日本に住んでるんですけどね」って、わざわざじゃないや〜ん。いしかわくんの、いけず。
 5.6.7の3曲を歌って一度引っ込まれたのですが、ロビーさんがいなくなった後、石川さんは「ふう〜」と溜め息をついて、このコーナーが一番緊張するんだと言ってました。

!HAヨY

『いえーい!』はいしかわくん口調の「いえ〜い!」です。さあ、みなさん、ご一緒に。いえ〜い!

ありゃりゃ

 S.T.F.のど頭。ベースの音が出なくて石川さんが一度止めてやり直し。どうやらペダルを踏み忘れてしまったようです。なーんか、ほのぼの。

あんこーる

 アンコールの2曲は、とりわけ大盛り上がり。『ファンク馬鹿兄弟』は知っての通りのファンキーで楽しい曲だし、ロビーさんの歌う『LOVE FLIGHT』は、すんごいハードになってて、迫力満点。「この曲ロビーさんにあげちゃってもいいわ!」と思った(その時は)ほど。
 まあ、逆に、『Close To Me』のようなすてきなバラードを聞くと、閣下に歌ってみていただきたいなあとも思うんですけどね。

終演後

 とにかく楽しくて楽しくて、それが感想の全てってくらい。あんな距離でステージを見ることが出来るのも、たぶんもうないと思うし、目も耳も身体全部が大満足。 これまで、凝った演出できっちりと構築されたステージしか知らなかった人なので、小さなライブハウスで、ラフにただ音に身を任せるようなライブは初めての体験でした。こんなに気持ちの良いものだったんですね。
 若干心配された石川さんのMCも、耳を疑うほど流暢で、さすがにあのバンドで鍛えられただけのことはある!
 RXはセミのようなバンド(地下にいる期間が長いから)と石川さんは言ってました。けれど、もっと活動して欲しいよね。せめて、オリンピック並で。
 とにかく最高の一夜でした。今年一番幸せな日決定!と申し上げて構わないかと思われますわ。