THE DOOMS DAY(1999/12/31/FRI) PART1

いよいよ、最後の日が来てしまった。
この日のことを、何度頭の中でシュミレートしてきたことだろう。
ステージを見つめる自分が、どんな気持ちになっているのか。
そして、今、現実にその時を迎えた自分がいる。
気持ちは・・・真っ白だった。

この3日間で唯一のアリーナ。
Cブロック6列目。
今日は双眼鏡いらねーぞ!
とは言っても、ちびっこい私のこと、やはりステージは半分しか見えない。
長官とその後ろの和尚は、前の方をよけなくとも見える位置。
殿下はドラムセットで相変わらず黄色いぽわぽわだけ。
閣下の立ち位置の角度に男3匹。
いや、彼らは何も悪くない。
ただ、ちょっと哀しいだけ。
参謀は、90%見えませんでした。


会場に鐘の音が響き渡る。
最後の5分前アナウンスはやはりこの方、デーモン小暮閣下。
最近とんとご無沙汰だった諸注意がなされた。
「今の内に行くべきとこへ行き、出すべきものを出しておくように」
という奴です。
そして、「ロビーやトイレにおける(なんたらかんたら)、自分の席を離れての(どーたらこーたら)、
カメラやテープレコーダーを持ち込んでの(あれやこれや)などを見つけた場合、ただちに殺す!」

この台詞も最後に聞けてよかったなって思います。
さらに、今夜は特別に、こんなこともおっしゃいました。
「でっかい声で曲の解説をしたり、バラードで度を越した大声で歌ったり、それを大きな声で怒鳴り付けたり
最後なんだから少しくらいは我慢して、楽しくやろうぜ」

そう、自分の不利益にイライラして、最後のミサを楽しめなくなったら悔いが残ります。
そのことを心配してくださる閣下の言葉に、早くも感動してしまったのでした。


オープニングはステージ後方から5つの棺桶がせり上がり、その中から構成員の登場。
ゆっくりと定位置につかれる。

聖飢魔II ミサ曲第II番「創世記」

「ぶひゃひゃひゃひゃ・・・。地獄の皇太子!!」

地獄の皇太子

いつものミサ。定着した型。
こうでなくっちゃ!と思える流れ。
もちろん、頭からガンガン行く。
閣下の声は、さすがに3日目ともなるとかなりきつそうだ。

GREAT DEVOYION

ここでMC。
「吾輩は悩んでいる。何を悩んでいるかと言うと、歌ってる途中であんなことやこんなことをやってやろうと考えていて、そうすると歌詞を忘れてしまう。どちらを優先するべきか、それを悩んでいるんだ」
それは、絶対歌詞は間違えるに決まってるから、今の内に弁解しておこう、ってことですか?
「が、どっちを取るかは吾輩の勝手だ。好きにやらせてもらう」
わかりました。もしもとんでもない間違いがあっても、その時閣下は、別の悪だくみ(?)を考えていると理解すればよろしいのですね。
それから、この日の朝、閣下はカイロプラクティックに行って来られたそうです。
そりゃ、満身創痍ですよね。
昨日も一昨日も一切手抜きなしの、ものすごいミサでしたもの。

LOVE FLIGHT
20世紀狂詩曲

秋のツアーの演出と同じで、坊さんダンサーズが登場し、やって楽しい見て楽しいお馴染みの振りで客席も踊る。
和尚の「携帯電話も」も、殿下の「横暴テレビは」もしっかりと耳に焼きつけました。
そして、最後は坊さんに閣下が拉致され、ボカスカ殴ったり蹴ったりする音が聞こえてきたのでした。
こうなると、つい、つぎは「ドナドナ?」と思ってしまいますが、違〜う。
参謀の美しくもせつない、身も心も全て捧げてしまいたいと思わせるソロが奏でられる。

エガオノママデ
空の雫

この「空の雫」は最近になって、とても好きになった曲。
そして、最後の「もう、諦めるな」という歌詞に励まされた曲。
「まだ」ではなく「もう」というところが、心にしみた。
今まで、どれだけの諦めを経験してきただろうか。
その度に挫折感を味わい、自分を信じられなくなってしまっていた。
でも、「もう」これからは、諦めなくていい。
そう言ってもらえることで、どれ程、力を与えられたことか。

真昼の月

12月に届いた会報の閣下の文章を読んで、この曲を思い浮かべた信者も多かったのではないでしょうか。
ここで、2度目のMC。
「この『でべそ』ってやつはなかなかいいもんだな」
と言いつつステージ上を見渡すと、他の構成員はいつの間にか居なくなってしまっている。
「なんだ、誰もいなくなってしまった」
と少々淋し気な閣下。
ここで、「でべそ」に仮のステージを作るためセットチェンジ。
「実は、最近ミサ会場で長官の世を忍ぶ仮の母上に会うことが多いんだが、
どうも、長官の母上は吾輩に気があるらしくて(笑)
貢ぎ物なんかもらっちゃたりして・・・」

閣下、「将を射んと欲すれば、まず馬を射よ」という諺があります。
いえ、深い意味はありませんが・・・。

ここから話はどんどん、世仮のご家族のネタになってゆく。
「この間、ライデンが母親にミサの会場の楽屋で
『あんた、今日は鍵持って来てんのね』って言われていた」

もう、殿下ったら、やっぱり可愛いじゃん。
「もっとすごいのが、いつだかのミサの時、スタッフが
『今日も閣下のお母さんは写真を撮っておられましたよ』って・・・」

苦笑いの閣下。
「もう、言っても無駄だから、結局『写真を撮ってもいい人です』というパスを付けさせて、
フラッシュだけはたかないでくれと言い聞かせたのだ」
とおっしゃってました。
そして、閣下のお母上が撮っておられるのは、ステージではなく客席だとのこと。
腕の動きが揃っているのがあまりにきれいだから、ということなんだそうです。

続いて、参謀のお父上のお話。
初めて参謀のお父上を紹介されたのが、このN.K.ホールだったそうです。
その時、参謀が皆に紹介しようかな、と思った時にはすでにお父上は勝手に閣下に話しかけていて、
そればかりか、サインを頼んで書いてもらっていたという。
今日も、楽屋で挨拶をされたのだけど、閣下は参謀と歌詞の打ち合わせをしなくては!という時だったので
「あー、はいはい」みたいな感じであしらってしまわれたとか。
客席の、参謀のお父上にむかって「どーも、失礼しましたっ!」と、投げやりな調子で謝っておられました。

そんなお話をされている内に、セットチェンジ終了。
構成員が「でべそ」に集まって来る。
私の席の横、6〜7個くらい席が空いていて、もうそこには誰も来そうもないので、
「でべそ」に向かって同じ列のみんなで民族大移動。
すると、もう、めちゃめちゃ近いの!
和尚はその目線がわかる位の距離。
長官と殿下もばっちり。
閣下は斜後ろのアングルになってしまう。
参謀は背中だけ。
すると閣下がこうおっしゃった。
「ここに出て来るとこっちの奴らには長官の背中だけ、
こっちの者には参謀の背中だけしか見えないだろう?
だから吾輩、舞台監督に『ステージが回ればいいのに』と言ったら、
『もう、これ以上は無理です。出来ません』と言われてしまった(笑)」

それを受けて長官がこうおっしゃったそうです。
「いいよ、俺、自分で回るから」
そして長官は椅子をくるくると回してくださいました。
他の皆さんも嬉しそうにくるくる。
ただ、殿下は後ろを向いてしまうと、ドラムが叩けなくなるのでやめてくださいね。
閣下、ご自分の椅子が回らないからって、手で椅子を回すのはどんなもんでしょう?
椅子だけ回っても無意味です。

千年香妃花
ロマンス

まさに「PONK!!」のツアーのアコースティックコーナーの再現。
手拍子も見事に合ってるし、「Hey!」なんて声も揃っちゃうし、とても気持ちがイイ!
宣言どおり、長官も和尚もくるくる回ってくださってる。
ここで、閣下、重大な間違いに気が付かれる。
「抱き合うことで」の部分を「抱き合う度に」と歌ってらっしゃって、
信者的には、先ほどのMCでの閣下のお言葉もあったことだし、まあ、許そうと思っていたのですが、
閣下は、客席で歌ってる信者の口の動きが、どーも違うということに気が付いてしまわれた。
「違うんだー。でも、もう遅い。二度と正しい歌詞は聴けない(笑)」

JUST LET ME GO

最後の「ララーラララーララ・・・」のところで、閣下は立ち上がって殿下の横に。
マイクを差し出すと、殿下、思わず歌ってしまいそうになる。
けれど、はっと我にかえって「いやいや」という風に首を横に振って、恥ずかしそう。
けど、もしかしたら、一声マイクに入ってたような気がするんですけど。
そうであって欲しいという願望が、聞かせた幻聴だったのでしょうか?
そして、アコースティックコーナー終了。再びセットチェンジ。
私たちも本来の席へと戻る。

この間のMCは参謀。
「しかし、もしも…まあ居ないだろうけど、今日初めてミサに来てる奴らは
『聖飢魔IIって一体どんなバンドだ?』と思うだろうなあ。
今日の閣下の1曲目の歌い出しなんて『豚の胃』(笑)
かと思うと♪ふた〜りの♪とか歌ってるし…」

「豚の胃」で切られちゃうと、何だかねえ。
何の歌だかわかんなくなりますね。

STAINLESS NIGHT
白い奇蹟
SAVE YOUR SOUL〜美しきクリシェに背をむけて〜

「さて、吾輩は今ステージの中央に立っている」
その一言で客席はこれからの流れを即座に理解し、「きゃー!」と声があがる。
全員がわかっているものとして、閣下は説明を省略される。
というか「ほげほげ語」で説明をされる。
「ほげらほんだら・・・」時たま「えーす」という単語が混じる。
長官も「ほげほげ語」を理解されてまずはメロディ。
そして頭の音。
客席エース組の歌声。
長官と閣下が「ほげほげ語」でやりとりされた後、もう一度エース組。
2回目でOKをいただく。
続いてルーク組。
何故か参謀には「どうでしょう?」と日本語でお尋ねになる閣下。
ルーク組も2回目でOK。
そして本番。
いつもより長く、そして聖飢魔IIの伴奏で歌うということを実感出来るアレンジにしてくださっていた。

悪魔組曲 作品666番ニ短調
蝋人形の館

「少女の悲鳴にも似た叫び声が、聞こえるとか…」
いつものように客席から「きゃーーー!」と悲鳴があがる。
それを聞いて閣下「ふっ」と笑いを漏らし「少女、だぞ」
って、失礼しちゃう。ぷんぷん。
そりゃ、どう転んでも、私なんて少女じゃないですけどっ。
それから♪助けてくれーと♪のところで、長官がいきなり「ぎゃー!!」と叫ばれた。
驚く客席。そして閣下。
何ごとかと、長官の方をご覧になっていた。
そして♪lalalala・・・♪のコーラスのところで、客席をあおって閣下はこうおっしゃった。
「最後のlalalaだっ!」
それを聞いて、今の今まで平気だったのに涙がじわっとこみあげてくる。
でも、ぐっとこらえてしっかりと歌いました。

WINNER!

1日目にやったので、もうないだろうと思っていたから驚いた。
でも、嬉しい。
最後の日に聞きたい、歌いたい曲だったから。

「また逢おう」
まだ、そう言ってもらえるのですね。

第一部終了。


演奏曲目